Setsuko Yano, MFT, CHT

介護・看護のストレス

寿命が長くなり、高齢の親の世話をする世代は、40代から50代以上にシフトしてきています。 出産の高齢化と子供の自立期の遅れにより、親と子供両方の面倒を見ている中高年も増えています。 このように高齢の親と子供の世話を同時に行わなければならない世代は「サンドイッチ世代」と呼ばれます。 親と子供の世話をするのは、息子よりも娘か、お嫁さんが多いです。 看護者・介護者には、下のようなストレスからうつ病や不安障害、適応障害などの問題が生じることもあります。 できないことは助けを求め、早めに医師や心理カウンセラーに相談しましょう。

* 経済的ストレス - 失業・退職。介護・看護のために仕事を続けるのが困難になる。アメリカでは親の看護のためにキャリアをあきらめ、会社を辞める場合も多い。子供が自立して職場復帰したり、学校に戻ろうとしているときに、看護のために困難となる。その上医療費がかさみ、負担が増える。

* 一人5役? - 世話係、母親、妻、会社員、主婦、学生など、いくつもの役割をこなしている。もう親には頼れない、自分が親の代わりとして、家族の責任を負っていく荷の重さ。

* 身体的ストレス - 疲労困憊。睡眠不足。ゆっくり休む暇がない。疲れがたまっている。自分も体調が悪いのに、看護を続けている。

* 心理的ストレス - 家族の体の世話をすることに怒りや恥かしさ、罪悪感、責任の重さなどを感じる。どこまで、どのように世話をするかの決断が難しい。認知症や被害妄想など、精神疾患を家族がわずらっている場合、介護者の心理的負担は増大する。女性は男性より2倍、うつ病にかかりやすい。病気看護が長引くと希望をなくし、うつ病が悪化して自殺するケースもある。

* 交友関係 - 世話があるので気軽に外出できない。友達に会いたいのに、なかなか会えない。外出が減り、仕事もやめ、世の中から取り残されているような悲しみや孤独感、孤立感。

* 喪失 - 末期の親を看取ることのいろいろなストレス。親の死を体験し、自立度が高まる人もいる。死んだ親との間に、長年かかえてきた未解決問題があると、気持ちを整理するのに時間がかかる。

* 老い - 年々若さを失い、体が老いて無理がきかなくなる。自己の加齢、死、人生の無常観と向き合う。若さは外見だけでなく、力を伴うので、老いることには無力感・不安が伴う。自己受容度、自立度、精神的な安定度は、中高年の精神的成熟度の一つの物差しとなる。

* 配偶者の病気、死- 親の看護だけでなく、パートナーが病気になったり亡くなることもある。配偶者への依存度が高いと、基本的な生活さえも困難になる人もいる。

参考文献: THE EXPANDED FAMILY LIFE CYCLE, Carter and McGoldrick, a Pearson Education Company, 1999.

 
公認臨床心理士・矢納摂子

 Setsuko "Robin" Yano, M.A., Licensed Marriage & Family Therapist

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